高度急性期病院の産婦人科として、卵巣や子宮の良性腫瘍ならびに悪性腫瘍などで手術を必要とする患者さん、急性疾患で治療を要する患者さんや妊婦さんに対して診療を行っています。
子宮頸癌、子宮体癌や卵巣癌などの悪性腫瘍に対してはそれぞれのガイドラインに沿って日本婦人科腫瘍学会専門医の指導のもとに手術療法や化学療法を選択しています。子宮頸癌の前癌状態である子宮頸部上皮内腫瘍は可能な限り子宮頸部が温存できるようなレーザー蒸散やLEEP切除(病変部の切除)を導入して、妊孕性を考慮する治療を行っております。子宮頸癌の手術療法では骨盤神経を温存した広汎子宮全摘出術(術後の排尿機能の回復が早い)や、適応を満たした場合には広汎子宮頸部切除(子宮体部を温存して、その後の妊娠が可能)を行っています。子宮体癌については症例に応じて腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術を保険診療として施行しています。また若年の方で、子宮の温存を希望する患者さんに対しては、適応を満たした場合ホルモン剤で治療し、子宮を温存する治療も行っています。卵巣癌はお腹に広がりやすく、手術と化学療法をうまく組み合わせないと治りにくい疾患ですが、手術の時期を適切に判断して、完全切除を目指せるよう治療方針を考慮しています。子宮肉腫などの希少疾患も、多くの治療経験をいかして最新の治療が行える体制を構築しております。
万が一再発があった場合にも、手術や薬物療法に加えて放射線治療も組み合わせて、病状に合わせた最適な治療を考慮するようにしています。適応が拡大された新しい薬物療法も積極的に導入して最新の治療を行えるよう準備を整えています。
平成30年4月にda Vinciを用いたロボット支援下子宮全摘出術が、令和2年4月にロボット支援下仙骨腟固定術が保険適用となりましたので、当科でもda Vinciを用いたロボット支援下子宮全摘出術やロボット支援下仙骨腟固定術を施行しております。
良性卵巣腫瘍、子宮内膜症および子宮筋腫などの良性子宮腫瘍は腹腔鏡下手術を第一選択としております。子宮内膜症によるダグラス窩完全閉塞や巨大子宮筋腫の子宮摘出術など難易度の高い症例も腹腔鏡下手術あるいはda Vinciを用いたロボット支援下子宮全摘出術で行っているため、平成28年以降では良性子宮疾患の97%以上を内視鏡下手術で行っています。
当院はNICUを有しているため早産リスクの高い妊婦さんを受け入れています。また院内助産を行っておりますので、ご希望される方は助産師外来でご相談ください。
現在、新型コロナウイルス感染拡大防止のため里帰り分娩、立ち会い分娩、クラス運営については状況に応じて以下のようになっております。
ご理解とご協力をお願いします。
里帰り分娩は実施していますが、妊娠初期に産婦人科外来へ電話連絡していただき地域連携室へFAX予約をお願いします。妊娠33週までには当院産婦人科で予約を取り受診をお願いします。 ※予約なしで、紹介状をお持ちになり直接来院されても受付できませんので、必ず早めの問い合わせをお願いします。
新型コロナウイルスの感染状況に応じて行いますので、問い合わせをお願いします。立ち会い者は夫・パートナー・親のうち1名の方のみとし、十分な健康観察と感染対策ができている方に限らせていただきます。
パパママクラス・マタニティビクス・ベビーマッサージについては休止しています。再開の際には当院ホームページ上でお知らせします。
産婦人科部長 西村 正人
・外来診療は月曜日・水曜日・金曜日は2診制です。
・手術のため火曜日・木曜日の午前中は1診制で午後は休診となっています。
・子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌などの悪性腫瘍、卵巣のう腫、子宮筋腫、子宮内膜症などの良性疾患、骨盤臓器脱、更年期障害などの女性ヘルスケア領域の疾患を対象に手術療法や薬物療法を行っています(不妊症は除きます)。
・経過観察が可能となれば「かかりつけ医」でみていただくようになります。(受診の際には紹介状をお渡しします。病状悪化や治療方針の変更の場合には再度当科での治療を行います。)
1,000gを超える巨大子宮、子宮頸部筋腫や子宮内膜症によって高度の癒着を伴うような手術難易度が高い子宮に対しても内視鏡を用いた手術(TLH:腹腔鏡下手術あるいはda Vinciによるロボット支援下手術)で行っています。
その結果、平成28年以降では当科で行っている子宮全摘出術の97%以上を内視鏡下手術で行っています。
新潟大学の磯部先生の論文によると都道府県別の総子宮全摘出術に占める腹腔鏡下子宮全摘出術(TLH)の割合をみると徳島県は他県に比べると高いと報告されています。
当科では平成28年以降では良性子宮疾患の97%以上を内視鏡下手術(腹腔鏡下手術あるいはda Vinciを用いたロボット支援下手術)で行っており、平成29年、令和2年は全例内視鏡下手術で行っています。
平成30年4月にda Vinciを用いたロボット支援下子宮全摘出術が保険適用となりました。当院には令和2年12月に最新機 da Vinci Xiが導入されています。da Vinciのロボットアームは腹壁の挙上に寄与するため術野が広くなり手術操作が容易になります。さらにロボット支援システムでは立体感のある3次元映像が得られ、手術操作では鉗子やカメラの手振れがなくなるため、より精密な手術が可能となります。
進行期 IA期までの早期子宮体癌に対して、平成26年12月より腹腔鏡下手術を開始し、令和4年12月までに70例施行しています。腹壁の切開創が小さいため術後疼痛は軽減し、出血量は少量です。術後入院日数は5日間です。子宮体癌の半数以上の方が早期子宮体癌(stage IA)であり、腹腔鏡下手術の適応となっています。