Acute care surgery(ACS)は20005年に米国で誕生した外科診療分野で、外傷外科(Trauma surgery)・内因性救急外科(Emergency surgery)・外科的集中治療(Surgical critical care)を三本柱としています。
米国では外傷医が外傷手術の減少に伴ってACSへ移行していった経緯がありますが、あくまでも外科医が外科の専門部門として担っています。日本では、外科の細分化された専門分野でカバーしきれなくなった外傷や救急外科分野を、専門性のない外科医、あるいは救急医が担当してきました。
近年ACS部門を持つ施設が少しずつ増えていますが、それに先駆けて当院では2017年より救急外科・外傷センターを設立し、2019年より外科内に消化管外科、肝胆膵外科、呼吸器外科と並立する形でASCが誕生しました。
ACSができて変わったこととしましては、まず外傷は外科医が初療より責任を持って指揮を執るというように意識が変わりました。さらにハイブリットER、大量輸血プロトコールなど院内体制にまで及ぶ外傷診療の質の改善、救急外科手術のエビデンスに基づくブラッシュアップ、集中治療のできる外科医教育などが挙げられ、当院ではまさにNew normalとして定着しています。
ACS設立からの入院患者
1,262件うち外傷369件
2019年11月~2023年12月(50ヶ月間)
初回手術件数651件うち外傷70件(他医手術除く)