呼吸器外科においては、主に肺癌に対する手術を中心として診療を行っております。年間100症例程度の肺癌に対する手術を行っており、手術件数は徳島県内でも有数の手術件数を行っております。そのほとんどは、胸腔鏡下手術であり、ロボット支援下手術,単孔式手術も取り入れており、患者さんに最適な術式を選択するように心がけております。
その他、縦隔腫瘍に対する手術、気胸、膿胸などについても積極的に胸腔鏡下手術を行っており、県内ではトップクラスの手術件数であります。
現在、呼吸器外科専門医は3名で、すべて、ロボット手術の技術の資格(サーティフィケイト)を有しております。この資格を有する呼吸器外科医が3名在籍しているのは、大学病院以外の公立病院では四国内で当院だけです。
肺癌などの悪性病変に対する診療においては、呼吸器内科、放射線科、臨床腫瘍内科などとの合同カンファレンスを毎週行っており、エビデンスに基づいた最適な治療方法を検討しております.
基本的には、胸腔鏡を用いた低侵襲手術を行っておりますが、気管支形成や血管形成を伴うような手術や胸壁合併切除が必要な手術は従来の開胸手術を行っております。
近年、CTの普及に伴い小型肺癌が増えている現状や、エビデンスに基づき、がんの根治性を保持しつつ肺機能の温存を行う区域切除も積極的に行っております。
当院では、泌尿器科が県内でもいち早くロボット支援下手術を導入しており、呼吸器外科においても保険収載された2019年から行っております。現在までに100例を超える手術を行っております。
また、従来の胸腔鏡下手術では主に3つの孔から手術操作を行っておりましたが、4cm程度の傷がすべての操作を行う単孔式手術の術後創部痛が少ない傾向にあることが一部の機関から報告され、当院でも比較的早期の方に行っております。
左右の肺に囲まれた体幹の中心部に発生する腫瘍の総称を縦隔腫瘍と呼びます。胸腺腫が最も多いのですが、基本的には手術で切除することが多いです。従来は胸骨正中切開という、心臓の手術を行なう時のような開胸手術を行っておりましたが、最近では胸腔鏡手術が主体です。また、狭い範囲内での操作になりますので、ロボット支援下手術が得意とする疾患の一つであります。であります。
気胸については、若年者から高齢の慢性閉塞性肺疾患に伴う気胸まで、幅広く診療しており、当院の救急科と連携しながら診療を行っております。
比較的軽度で症状がない場合は経過観察や穿刺による脱気のみ、中等度の場合は胸腔ドレナージを行い、難治性、再発を繰り返す場合は胸腔鏡手術を行っております。
肺機能が著しく低下しており、手術を行なう体力がない人には気管支鏡を用いて、気管支塞栓術を行います。
肺の炎症が胸膜に波及し胸水貯留、発熱を伴い、救急を受診されて方が多いです。抗生剤などの治療により軽快する方も多いですが、難治性の場合には胸腔鏡手術を行っております。
肺癌などが進行し気道を閉塞すると呼吸困難を生じます。緊急性が高い状態であり、呼吸器内科、放射線科、麻酔科医師などと合同で治療に当たりますが、可及的に閉塞している気道にステントという管を挿入し気道を確保します。狭窄が高度な場合はレーザー治療を併用することがあります。