放射線科の業務は、他の診療科に比べて詳しく知られていないところがありますが、大きく分けて3つの業務があります。
CT(Computed Tomography)とは、コンピュータ断層撮影の事でX線を体の周囲から照射し、患者さんの体から透過したX線を検出したデータをコンピュータ処理することで体の断層像を得る検査です。
当院には2台の診断用CT装置があります(GE社製 RevolutionCT、 Philips社製Brilliance iCT)。うち1台は、DECT(Dual Energy CT)が搭載されています。DECTでは、エネルギーの異なる2種類のX線で撮影を行い、通常のCTスキャンでは得られない情報を得られることができます。また金属アーチファクト低減ソフト(MARs)と組み合わせることで人工物周囲でも鮮明な画像を得られることができます。
MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴断層画像)検査とは、強い磁場と電波を使って人体の様々な断層を撮像する検査です。X線やCTのように放射線を使用しないため被ばくの心配がなく、軟部組織(脳・脊髄・筋肉・関節・内臓など)の描出に優れています。
当院では2台のMRI(フィリップス社製1.5T、3T)を導入しており、患者さんの診断に貢献しています。脳梗塞など迅速な対応が求められる疾患に対しては24時間体制で撮影可能な体制を整えています。
PET-CTはブドウ糖類似物質であるFDGという放射性薬剤を体内に注射し、画像を撮る検査です。同時にCTも撮影します。FDGは腫瘍等の代謝が盛んな部位に集積しやすい性質があり、FDGの代謝とCTの形態を同時に調べることができます。がんの進行程度の診断や、経過観察、再発の発見に欠かせない検査です。
2025年12月に徳島県内初となる半導体PET-CTが導入されました(2026年4月時点、当院調べ)。従来の機種と比較して解像度が向上し、より微細な病変の描出に寄与します。また画質を保ちつつ被ばくを低減することができます。これによりがんの早期発見や治療効果の正確な判定に貢献します。他にも大型血管炎、心サルコイドーシスの診断目的の検査も行っています。
アルツハイマー型認知症の原因とされるアミロイドβの脳内沈着を評価するアミロイドPETを開始しました。
当院は日本核医学会・日本認知症学会・日本神経学会が定める「アミロイドPETイメージング剤の適正使用ガイドライン(第4版)」に沿ってアミロイドPET検査を実施しています。
また、日本核医学会による「アミロイドイメージング剤を用いた脳PET撮像」の撮像施設認証(I)を取得しており、厳格な基準の下、アミロイドPET-CT検査を実施しています。
放射性同位元素(ラジオアイソトープ)を含む放射性医薬品を注射やカプセル内服にて体内に入れると、目的の臓器や組織に取り込まれます。体内から放出される微量のガンマ線を専用のカメラ(ガンマカメラ)で撮影し、CTやMRI検査などで得られない機能や代謝などを画像にする検査です。脳、甲状腺、心臓、腎臓、全身の骨などの機能を評価できます。脳、甲状腺、心臓、腎臓、全身の骨など、目的に応じた放射性薬剤を用いることで、各種機能を評価することができます。
IVRとは、種々の画像診断装置(CT、血管造影装置、超音波)を用いて体の外からカテーテル(細い管)等を挿入して行う治療の総称です。各診療科や地域の他の病院と連携して治療を行っています。治療は様々ですが、カテーテルを血管内に挿入して行う血管内IVRとそれ以外の非血管系IVRに別れます。
緊急疾患(外傷や消化管出血、術後出血など)に対しても迅速に対応しています。
当院では血管造影装置とCTとを組み合わせたIVR-CT装置を導入しています。台を移動することなく、2台の装置を使い分けることができます。また救急科と連携して、重症外傷者に対して直接IVR-CT室に搬入し、外来初期診療、CT検査、血管塞栓術が同一寝台で行えるhybrid ERとしても活用しています。
当院では、多列CT(256列)、高磁場MRI(3.0テスラ)、PET/CT等、最新の高機能装置を導入しています。
256列CTでは、数秒間の息どめで全身を1mm間隔で撮像可能で、外傷や癌の検索に威力を発揮します。
3.0テスラの高磁場MRIでは、低磁場装置ではみえない細部の観察が可能になります。
乳腺診断外来では、マンモグラフィーや超音波等の画像診断だけで無く、生検(病変に針を刺して細胞や組織をとること)を施行し、診断が確定した時点で外科に紹介する形を取っています。
X線検査、CT、PET-CT、血管撮影、血管内治療は放射線被ばく(医療被ばく)を伴います。
難しい話になりますが、被ばくの影響は確定的影響と確率的影響に分けられます。
検査や治療は被ばくによる不利益より、医療的メリットが上回る場合のみ検査を行われます。
適切な被ばく線量で検査を行うことが大切であり、当院では適切な線量で検査ができるように放射線技術科と連携して定期的に見直しを行っています。
当院の医療被ばく線量の詳細ページ
| 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
|---|---|---|---|---|
| 24,961 | 25,023 | 25,990 | 28,185 | 29,314 |
| 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | |
|---|---|---|---|---|---|
| PET-CT件数 | 958 | 1,044 | 959 | 1,191 | 1,002 |
| SPECT件数 | 382 | 373 | 352 | 323 | 319 |
| 総計件数 | 1,340 | 1,417 | 1,311 | 1,514 | 1,321 |
| 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 血管系IVR | CVリザーバー(CVポート) | 133 | 127 | 118 | 152 | 128 |
| 経皮的血管塞栓術 | 53 | 50 | 53 | 82 | 79 | |
| BRTO | 5 | 3 | 6 | 3 | 2 | |
| 経皮的血管形成術(シャント) | 7 | 14 | 11 | 13 | 5 | |
| その他経皮的血管形成術(シャント以外) | 1 | 1 | 2 | |||
| 副腎静脈サンプリング | 2 | 4 | 2 | |||
| その他血管系IVR | 22 | 13 | 6 | 14 | 13 | |
| 血管系IVR合計 | 223 | 208 | 194 | 268 | 231 | |
| 非血管系IVR | CTガイド下生検 | 18 | 7 | 7 | 10 | 14 |
| CTガイド下ドレナージ | 11 | 16 | 18 | 18 | 27 | |
| RFA | 2 | 1 | ||||
| その他非血管系IVR | 20 | 15 | 13 | 7 | 11 | |
| 非血管系IVR合計 | 49 | 40 | 38 | 36 | 52 | |
| 総計(血管系IVR+非血管性IVR) | 272 | 248 | 232 | 304 | 283 |
他の診療科とくらべて、放射線科の業務内容については詳しく知られないところがあります。
中央病院放射線科では、CTやMRI、PETを含む核医学検査などの画像診断業務に加えて、IVR(画像下治療・血管内治療などとよばれる患者さんに負担が少ない治療)や癌に対する放射線治療を行っています。
各診療科から依頼を受けたCTやMRI、PET/CTといった画像検査の読影をし、画像診断レポートを作成する業務です。6名の専門医と2名の後期研修医が、1日150件以上の画像診断を行っています。
院内の患者さんだけでなく、他の病院や診療所からも画像検査の紹介を多数頂き、診断結果をお返事しています。他の県立2病院(三好病院、海部病院)の遠隔読影も行っています。
当院では、256列CT、3.0テスラMRI 、PET/CT等の最新の画像診断機器をそろえています。
256列CTは、1回の息どめで全身の高速スキャンが可能です。また詳細な立体画像の構築が可能で、癌や外傷等の救急疾患に大変役立っています。
3.0テスラMRIでは、より細かい部分の観察が可能になっています。
PET/CTは、体内にFDGという放射線物質を注射し、画像を撮る検査です。FDGは腫瘍等の代謝が盛んな部位に集積しやすい性質があり、癌の進行程度の診断や、経過観察、再発の発見に欠かせない検査です。
IVRとは、耳慣れない言葉かもしれません。日本語では、画像下治療や血管内治療などと訳されています。
血管撮影装置や、CT、超音波等の画像を用いて、体の外からカテーテル(細い管)や細い針等を挿入して行う治療の総称です。局所麻酔で、カテーテル等を挿入するだけなので、”患者さんの負担が少ない”、”体に優しい治療”です。日帰り手術で行う場合もあります。
脳や心臓の血管の細くなった部分をひろげる”風船治療”や”ステント治療”などが一般的ですが、対象とする病気は、腫瘍、血管病変、外傷、吐血や喀血などの出血等、多岐にわたります。当院放射線科では、脳や心臓、大血管以外の部位のIVRを広く担当しています。
当院でよく行われているIVRの例を提示します。
肝細胞癌などの腫瘍に対してカテーテルの先から血管を詰める物質を注入して血流を遮断します。
血流が途絶えたて栄養や酸素が流れなくなった腫瘍細胞は死滅します。いわば、腫瘍を”兵糧攻め”にする治療です。
肝臓の血管塞栓術(TAE):左の写真で黒く見えているのが腫瘍。右では薬を詰めて写らなくなっています。
腫瘍に対してと同様に、出血部位のカテーテルの先から血管を詰める物質を注入して止血します。
細くなった血管を、風船やステントで広げて血流を回復させる治療です。
シャント血管拡張術:左の写真の矢印部は血管が閉塞しています。真ん中の様に風船を膨らませて血管を広げます。一部狭くなっている部分が血管が細い部分です。右の写真では詰まっていた血管が再開通しています。
年間約300人の方に放射線治療を行っています。当院の放射線治療の殆どは体の外から放射線を当てる外照射ですが、バセドウ病に対する放射性ヨード内用療法や骨に転移したときの痛みに対する塩化ストロンチウム療法といった体の中から放射線を当てる内照射も実施しています。
乳房温存術後の放射線治療や肺癌の放射線治療(抗癌剤と併用することも)をはじめとして様々な悪性腫瘍に対する放射線治療を行っています(まれに甲状腺眼症やケロイド、木村病といった良性疾患に対する治療を行うこともあります)。高精度放射線治療と呼ばれる種類の治療も行っており現在以下の高精度放射線治療が保険診療で実施可能です。
1.脳定位照射:ガンマナイフと同じようなピンポイント照射を通常の放射線治療機器を用いて行っています。
2.体幹部定位照射:1と同じようなピンポイント照射を肺や肝臓の腫瘍に対して行っています。
固定具で圧迫固定して行う方法と、3で示す呼吸同期照射と呼ばれる方法とを使い分けて行っています。
1回の治療時間は30分~1時間と長いですが1週間で治療が終わり比較的負担の少ない治療です。
3.呼吸同期照射(呼気息どめ含めて)
肺や肝臓など呼吸によって動く臓器にある腫瘍は、呼吸によって大きく動くことがあります。これまでの放射線治療はこの動く範囲すべてに放射線を当てざるを得なかったので放射線を当てる範囲が広がっていました。しかしこの呼吸同期照射という技術を使えば、息を吐いたときのみ放射線を当て、息をすっている時は当てないということができるため、放射線を当てる範囲が狭くてすみ結果として副作用の少ない治療ができます。徳島県では当院が初めて呼吸同期照射を導入し、治療経験の最も多い病院となっています。
バセドウ病に対する放射性ヨード内用療法、骨転移を有する去勢抵抗性前立腺癌に対する塩化ラジウム療法などが実施可能です。現在年間5-10件程度行っています。
当院放射線科では、平成24年の開院時に、256列マルチスライスCT、3.0テスラMRI、PET-CT、IVR-CT、高機能リニアック等、画像診断、放射線治療機器とも最新の高機能装置を導入しました。
医療スタッフは、画像診断6名(うち4名がIVR専門医、3名が核医学専門医を重複して取得)、放射線治療専門医1名と後期研修医2名が診療に当たっています。
地域連携室にFaxしていただくことにより、画像検査、IVR、放射線治療とも、多数のご紹介頂いています。
直接放射線科にお電話いただければ、当日検査や緊急IVR、緊急放射線治療を施行することもあります。
当院では、従来設置されていた64列マルチスライスCTに加えて、256列CTを導入しており、空間分解能、時間分解能に優れた画像を撮影しております。これにより、様々な3D画像を再構築出来るようになり、心臓の冠動脈CTや脳血管CTAなどに取り組んでいます。作成した3D画像は、ナビゲーション手術システムや立体模型作成に利用しています。以下に、その再構築した像を提示します。
また、高磁場(3.0テスラ)MRIは、脳脊髄領域、整形領域の他に、肝胆膵領域や婦人科領域などの幅広い分野で、従来より細部まで観察することが可能になっています。
PETは、体内にFDGという放射線物質を注射し、画像を撮る検査です。FDGはブドウ糖によくにた構造で、腫瘍等の代謝が盛んな部位に集積しやすい性質があり、癌の診断には欠かせない検査になっています。また、治療効果判定や、癌の再発の検索にも用いられます。PET/CTは、PETの画像とCTの画像を同時に撮像して重ね合わせることにより、CTだけではわかりづらい病変が明瞭に描出され、正確な診断が可能になります。
IVRとは、耳慣れない言葉かもしれません。日本語では、画像下治療や血管内治療などと訳されています。
当院では、腫瘍や外傷、喀血、消化管出血等に対する血管塞栓術、癌の動注療法等の血管系IVRおよび、肺などの経皮的針生検や各種ドレナージ等の非血管径IVRを幅広く施行しています。
透析シャント閉塞の血管拡張術や、中心静脈リザーバー埋め込み術等の侵襲が少ない手技は、外来で”日帰り手術”で施行することもあります。
当院では現在2台(Clinac iX<バリアン社製>、Oncor Impression Plus<シーメンス社製>)のリニアック装置を用いて年間約300人の方に放射線治療を行っています。また県立三好病院での放射線治療が2015年2月に開始されたのをきっかけに三好病院に対する遠隔放射線治療支援も行っています。
なお、当院には放射線治療専門医はもちろん、放射線治療専門技師・放射線治療品質管理士、更に徳島県では2人しかいない医学物理士(もう一人は三好病院に勤務)が在籍しておりかつ近日中に放射線治療認定看護師が誕生する予定と、”放射線治療に関係する有資格者が全てそろう徳島県内初の病院”となる予定です
乳房温存術後の放射線治療や肺癌の放射線治療(抗癌剤と併用することも)をはじめとして様々な悪性腫瘍に対する放射線治療を行っています(まれに甲状腺眼症やケロイド、木村病といった良性疾患に対する治療を行うこともあります)。
高精度放射線治療は現在以下の高精度放射線治療が保険診療で実施可能です。強度変調放射線治療(IMRT)は現在放射線治療医が1人しかいないため保険診療では実施できませんが、検証作業を進め今年中に1例目を始めるべく準備をしています。
1.脳定位照射:通常のリニアックを用いた脳定位照射の実施人数としては四国では徳島大学病院につぐ位の人数(年間30-40人)の方に治療を行っています。
2.体幹部定位照射:1と同じようなピンポイント照射を肺や肝臓の腫瘍に対して行っています。
固定具で圧迫固定して行う方法と、3で示す呼吸同期照射と呼ばれる方法とを使い分けて行っています。
年間約10人の方に行っています。
3.呼吸同期照射(呼気息どめ含めて)
肺や肝臓など呼吸によって動く臓器にある腫瘍は、呼吸によって大きく動くことがあります。これまでの放射線治療はこの動く範囲すべてに放射線を当てざるを得なかったので放射線を当てる範囲が広がっていました。しかしこの呼吸同期照射という技術を使えば、息を吐いたときのみ放射線を当て、息をすっている時は当てないということができるため、放射線を当てる範囲が狭くてすみ結果として副作用の少ない治療ができます。”徳島県では当院が初めて呼吸同期照射を導入”し、治療経験の最も多い病院となっています。特殊な呼吸同期ファントムを日本で6番目に導入しており、十分な検証作業を行って実施している全国でも数少ない病院の一つです。定位照射以外でも肺や上腹部腫瘍に対する通常照射でも必要に応じ実施しています。
バセドウ病に対する放射性ヨード内用療法、骨転移を有する去勢抵抗性前立腺癌に対する塩化ラジウム療法などが実施可能で現在年間5-10件程度行っています。