救急医療は地場産業と言われています。緊急度・重症度の高い患者さんは、まずその地域で治療が行われなければ救命できません。全国に設置された救命救急センターはそれぞれの地域の現状にあわせて、特徴のある救急医療を行っています。
当院救命救急センターの役割は、地域の患者さんを24時間365日体制で、重症度に見合った医療を提供することと考えています。そのために、プライマリケアから集中治療まで、安全で適切な医療を提供できるようチーム医療体制作りをすすめています。
当院の救急医療の特徴は、3次救急という最も緊急度・重症度の高い患者さんの受入を専門的に行っている点ですが、軽症から重症の患者を幅広く受入れ診察を行っています。
そのため、重症度の高い方、緊急度の高い方が迅速に治療を受けて頂けるよう、患者さんの受付時にトリアージ(治療優先度の判定)を行っておりますのでご理解ご協力をお願いします。
また、精神科救急についても、県下の合併症のある精神疾患患者さんの受入を積極的に行っています。
小児救急に関しても、小児救急医療拠点病院として小児救急医療を担当しています。
今後とも、かかりつけ医・救急隊・行政部門の皆様との連携を密にして、よりよいシステムの構築に精進していきたいと思います。
新病院開院とともに新しい施設、新体制でスタートしました。救急外来(ER)及び救急車搬入口は新病院南側に位置しております。西側から順に、時間外入口、感染症患者入口、救急車搬入口とならんでいます。
救急外来の診察室は、一般の個室診察室、経過観察室、重症患者処置室に分かれています。重症度の高い患者さんは救命救急センター病棟(4階)に入院となります。
救急外来で診療にあたるスタッフは、救急専属医2名、後期研修医、初期研修医で行っています。さらに総合診療科医師、各科医師とともに診療にあたっています。
特に新病院開院とともに新設された総合診療科は、プライマリケアに基づいた総合内科としての診療を行っています。
救急外来での診療に際しては、まずプライマリケアを重視し、重篤な疾患だけでなくcommon disease(多い疾患)がしっかりと診療できるようにと心がけています。この点は臨床研修医が診療にあたる際にも、もっとも重要な点と考えています。
当救命救急センターの受診患者は年間20,000人、救急車受入は年間5,200件、うち特に重症な3次救急患者数は800人ほどで、救急患者数は年々増加する一方です。
重症患者は救命救急センターで緊急処置を行います。これは心肺蘇生処置や出血性ショック、意識障害に対する処置などがあたります。必要な場合は各科専門医の協力を得て治療にあたります。病棟としてICU(Intensive care unit)、HCU(High care unit)、CCU(Coronary care unit)といった集中治療ユニットがあり、重症患者を受け入れるようになっています。
平成24年10月9日、新病院移転開院とともにドクターヘリ事業が開始されました。全国36番目の基地病院として運航を開始、徳島県全域、和歌山県西部、淡路島全域を運航範囲としています。
ドクターヘリの目的は「医療従事者(医師、看護師)、医療資器材を現場に送り届け、治療開始までの時間を短縮する」ことであり、「助かる命を一人でも多く助ける」ことが重要なことと考えています。ドクターヘリスピリットは熱く燃えています!
運航スタッフは医師5名、看護師8名です。CS室(運航管理室)はERに直結した形で設置、バックアップの医師が消防とのやりとり、患者情報の共有などの役割をはたします。
当院のヘリポートは屋上で、給油も行えるようになっています。
ドクターヘリの機体はEC135です。運航会社はヒラタ学園で、ドクターヘリ事業は将来、関西広域連合に移管されることになっています。現在関西広域連合内では、公立豊岡病院但馬救命救急センター、大阪大学医学部附属病院、和歌山県立医科大学病院でドクターヘリが運航されています。
広域災害などが発生した際には、関西広域連合内でドクターヘリの運航調整がなされ、有効利用できるよう調整されることとなっています。