治験管理センターは平成19年4月に発足しました。
GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)はじめ関連法規を遵守して、治験を実施することにより、新規医薬品・医療機器の開発を促進し、医療の発展に寄与することを目指しています。
製薬企業の依頼による医薬品・医療機器の治験、および製造販売後調査を対象に、治験事務局業務のほか、治験実施における各種サポートを行っています。
また、治験の院内啓発や治験業務推進に努めています。
事務局:治験担当事務
薬剤局:治験審査委員会運営、治験薬管理、コーディネーター業務
看護局:コーディネーター業務
検査科:治験担当検査
*外部治験コーディネーターによる治験支援体制を採っています。
当院で行われる治療、製造販売後調査などについては、治験審査委員会で審査しています。
くすりができるまで
「くすりの候補」が「くすり」になるためには、たくさんの試験が必要です。
治験は第1相から第3相試験と段階を踏んで進められます。各試験における対象などは次のとおりです。
対象 | 試験内容 | |
---|---|---|
第1相試験 | 少数の健康な人 | 治験薬(くすりの候補)の安全性と吸収・排泄のされ方を調べます。 |
第2相試験 | 少数の患者さん | 治験薬の安全性、有効性を調べます。 |
第3相試験 | 多くの患者さん | 従来の治療法と安全性、有効性を比べ、標準的な使い方を確定します。 |
第2相・第3相試験では比較試験法を行う場合があります。比較試験法にはいくつかのパターンがあります。
比較試験では、患者さんの状態や医師の判断が先入観や思い込みに判断されるのを防ぐため、どちらのくすりが投与されているかは患者さんや医師や薬剤師にも分からないようにします。つまり、比較試験は効果公平に比較するために必要な試験方法なのです。
人を対象にしているため厳しい規則や基準が設けられています。
治験は人に「くすりの候補」を試すことになるので、治験に参加される患者さんの安全性を確保し、患者さんの権利が最大限保護されるものでなければなりませ ん。そのため治験を行うには国により厳しい基準が定められています。その基準は、「医薬品の臨床試験の実施基準」(GCP)といいます。
人権や安全性がきちんと守られた中で、科学的に正確な情報が収集されるようルールが定められています。治験審査委員会の設置、患者さまの人権保護、記録の保存など、治験に関する全てのことに対して基準が設けられています。
製薬会社が治験を依頼するときは、その計画の内容を厚生労働大臣へ届けなければなりません。
参加・不参加は患者さんの自由意志によります。患者さんの状態が治験の参加条件と合致した場合、医師から治験の説明があります。
治験に参加するかどうかは患者さんの自由意志によります。参加を強制したり、断ったからといって不利益を被ることは一切ありません。
医師の説明に十分納得いただけたら、同意書にサインをしていただきます。(インフォームド・コンセント)これで治験に参加したことになります。
途中で治験をとりやめたいときは、いつでも取りやめることができます。
その後は通常の適切な治療を受けることができます。
一般的なメリット、デメリットであり、全ての治験に当てはまるものではありません。
CRC:Clinical Research Coordinator
治験コーディネーター(CRC)は、患者さん(被験者)と医師、治験依頼者との間に立ち、GCP(Good Clinical Practice)に則った治験(臨床試験)が適正かつ円滑に実施されるように支援する役割を担っています。
患者さんにやさしくわかりやすい治験の実施をめざして、医師との橋渡しをしていく新しい職域であり、病院スタッフと連携しながら、治験のさまざまな段階を調整する治験協力者です。
☆患者さん(被験者)のケア
☆治験責任(分担)医師のサポート
☆治験依頼者への対応
被験者(患者さん)が治験に参加するにあたり、医師から治療の内容や検査の内容、予測される効果や副作用などについて説明が十分にされた後、被験者がこれを理解し、自由な意思によって治験に参加することに同意すること。
治験が円滑に進行するように、治験に参加している人や、医師や製薬会社の間に立ってお手伝いをするスタッフのこと。被験者(患者さん)が安心して治験をうけることができるよう被験者のスケジュール管理やケア、相談などの対応をしています。
治験を行うに当たり、被験者(患者さん)の人権・安全・福祉に問題がないかどうか審査する機関。医学・薬学の専門家やそれ以外の委員から構成される委員会。治験の安全性と倫理性を保つために厳しく審議します。
「医薬品の臨床試験の実施の基準」のこと。治験を実施するにあたり、治験に参加する人の人権と安全を守るために、また、治験が科学的でより倫理的に行われるための基準である。
治験業務を適切に実施できるように手順を定めたマニュアルのこと。
有効成分を含まない、治療効果のない薬のことを「プラセボ」といいます。治験のお薬と同じ形や色・大きさをしていて、見ただけでは治験のお薬かプラセボかわからなくなっています。これは、お薬を飲んだことによる心理的な効果を比べて、治験のお薬が本当に有効なものかどうかをみるためです。全ての治験でプラセボを使うわけではありません。
治験の目的、デザイン、方法等について記述した文書。治験を実施するにあたって、医療機関及び治験依頼機関等が遵守しなければならない要件事項を記載した実施計画書のこと。