緩和ケアは、患者さんとご家族のクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)を維持向上することを目的に、がんなどの悪性疾患に対して治療の早期から提供される医療・ケアです。病気の治癒を目指したものではなく、その人がその人らしく病気や治療と向き合っていくために、病気そのものや治療に伴う様々な苦痛を和らげるようサポートすることをいいます。
患者さんの社会面、経済面、心理面など、取り巻いている環境を幅広く捉えながらつらさを取り除くことを同時に行います。
当院では緩和ケアチームが活動を行っています。
がんなどの悪性疾患による痛みや呼吸困難など身体の苦痛や病状への不安・気持ちの落ち込みなど精神的つらさなどを緩和することを目的とし、平成16年12月より多職種でチーム活動を開始しています。急性期病院としての役割を担っている当院での緩和ケアチームは、緩和ケア病棟をもつ病院のように最後まで看取る完結型の緩和ケアとは少し異なります。主治医や病棟・外来看護師と協力して初期診療に入るときから、緩和ケアの視点を大切にし、サポートさせていただきます。
治療が終了し、転院や在宅療養に移られる場合でも、緩和ケアを受けていただける支援体制の調整に努めています。
緩和ケアチームのサポートが必要な患者さんについて、主治医や担当看護師から相談を受けています。また、患者さんやご家族より緩和ケアチームのサポートをご希望される際にも依頼を受けています。内容は以下のようなものです。
チームメンバーが毎週火曜日に病棟を回り、サポートを必要としている患者さんがいらっしゃらないか看護師より話を聞いています(ラウンドといいます)。
サポートを必要としている患者さんに対しては、主治医の了承を得た上で、チームメンバーが直接病室までお伺いすることもあります。ラウンドを行った日に集合し、患者さんのつらい症状や治療の状況、今後の方針などを話し合います。その結果をカルテに記載したり、直接話したりして主治医に伝え、サポートを行っています。原則として治療やケアを行う際には、主治医の方針に沿う形ですすめています。
また、緩和ケアについて病院職員の知識や意識を高めるため、勉強会を月に1回開催しています。勉強会は県内の医療職にむけて公開し、県下の知識・技術向上に努めています。医師対象の緩和ケア研修会のお手伝いもしています。
難治性疼痛に対する神経ブロック治療については、麻酔科との連携により実施できるよう体制整備をしております。
「緩和ケア」は治療開始前から始まるものです。必要とされる方へ、早い段階からチーム介入が開始できるように、システム作りをしてきました。今後の治療・療養について患者・家族と医療従事者があらかじめ話し合うプロセス(アドバンス・ケア・プランニング:ACP)にも力をいれていきたいと思います。
がんなどの悪性疾患と告知された患者さんとご家族は様々な悩みやつらさを経験されることと思います。
多職種がチーム活動しておりますので、気軽に何でもご相談ください。 総合相談窓口や主治医、看護師へお問い合わせください。