呼吸器内科では、常に患者さんに最高、最善の医療を提供することを目標としています。経験豊富な専門医が全人的に的確かつ迅速な判断と処置を行うことで外来・入院治療を問わず、QOL(quality of life)を重視した全般的な医療の充実を目指し、呼吸器疾患の全ての領域で多くの症例に対し積極的に診療に当たっています。
呼吸器内科6名の常勤医で診療に当たっています。また、初期研修医も指導医とともに診療に当たります。
専門外来は月曜日から金曜日まで連日診療をしており、気管支ファイバーの定期検査は火曜日・木曜日の午後に行っています。曜日担当医は、ホームページの外来診療スケジュールをご参照下さい。
肺癌を代表とする腫瘍性疾患に対しては、地域がん診療連携拠点病院として、蛍光気管支鏡、超音波気管支鏡を備えて診断し、EGFR、ALKなど遺伝子変異の有無も検索し、肺癌診療ガイドラインを参考に、最先端レベルで診療に当たります。
また、呼吸器外科、放射線科とも合同カンファレンスを行い、集学的治療にも積極的に取り組んでいます。外来化学療法も、意欲的に対応し、緩和ケアチームとも連携をしています。
肺炎・気管支炎・胸膜炎や膿胸などの感染性疾患に対しても、感染症専門医、ICD(インフェクションコントロールドクター)と協議し、ガイド ラインに準拠し起炎菌を想定した適切な治療を行っています。感染対策チーム(ICT)の中心的役割も担っています。また、第2種感染症指定医療機関として新型インフルエンザ等に対する感染症病床、結核患者に対する、結核病棟(陰圧病床)での診療も行っています。
救命救急センター併設もあり、近年増加しているCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の憎悪による人工呼吸管理だけでなく、慢性期のHOT(在宅酸素療法)、在宅用NPPV(鼻マスク式陽圧人工呼吸器)導入も行っています。間質性肺炎などのびまん性肺疾患や、気管支喘息を初めとするアレルギー疾患に関しても、呼吸不全憎悪時の人工呼吸管理も含め、集中治療を行っています。
上述のように呼吸器疾患全域にわたり診療に当たっています。
また、当院は呼吸器領域の幅広い学会で研修施設に認定され、常勤医は専門医・指導医の認定を受けています。
胸部レントゲン、胸部CT、パルスオキシメータ(経皮的酸素飽和度)、動脈血ガス分析、肺機能検査、
胸部超音波検査、胸水穿刺、気管支ファイバー検査(平成24年232件、平成25年339件、平成26年333件:入院症例含む)、
経気管支肺生検、気管支肺胞洗浄、蛍光気管支鏡、ガイドシース併用気管支腔内超音波断層法、超音波気管支鏡下針生検など
上記検査を入院でも行うことがあります。加えて、局所麻酔下胸腔鏡検査も施行しています。
CTガイド下経皮的肺生検は放射線科、全身麻酔下胸腔鏡検査は呼吸器外科で実施してもらっています。
呼吸器疾患の中で発症頻度の高い疾患群(肺炎などの感染症、肺癌、COPD、間質性肺炎など)について的確な検査や診断が出来るように必要な知識・技術を身につけてもらいます。胸水穿刺、気管支鏡検査、血液ガス分析などの習得と共に、肺機能検査、胸部X線、胸部CT(HRCT)などの読影力の向上を目指します。
常勤医は呼吸器領域の幅広い学会で専門医・指導医の認定を受けており、日本呼吸器学会、日本アレルギー学会、日本呼吸器内視鏡学会、日本臨床腫瘍学会、日本感染症学会などの研修認定施設となっています。将来、専門医・指導医を目指す先生方には非常に恵まれた環境にあり、学会発表もサポートします。
毎週水曜日、気管支鏡症例を中心に、胸部レントゲンの読影を行う。呼吸器外科医・放射線科医合同で症例の検討を行う。適宜、入院患者症例の呈示、検討や、抄読会も行う。
毎月1回、呼吸器外科医、放射線科医、病理専門医の参加のもと、手術症例などの病理学的検討を加えた合同カンファレンスを行い、画像診断、治療方法などのフィードバックを行う。
毎週1回、院内血液培養陽性患者、耐性菌検出患者の病態を検討し、発症、保菌の判定、ICTラウンド適応の有無などの検討を行う。
2週に1回、(第2・第4火曜日)、当院入院中の全人工呼吸器装着患者をラウンドし、患者の状態、人工呼吸器設定、作動状況などを確認し、人工呼吸器離脱に向けてサポートする。
現在、診療科で重点的に診療を行っている疾患、治療方法
外科症例とあわせ年間200例前後の肺癌を代表とする腫瘍性疾患に関しては、組織型、病期、腫瘍の遺伝子変異を検索し、呼吸器外科、放射線科と定期的にカンファレンスで協議し集学的治療に積極的に取り組んでいます。全体の3割程度は当科で新規に抗がん剤や分子標的薬を導入しています。抗がん剤による化学療法は、院内化学療法委員会で認定され、登録された小細胞癌に対する10レジメンと、非小細胞肺がんに対する28レジメンを用いて、化学療法パスも併用し、均てん化した治療を行っています。外来化学療法室は、年間のべ640回以上の利用症例があります。
年間750例前後の当科入院患者のうち、肺炎などの感染症患者が2割程度を占めますが、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や、びまん性肺疾患(間質性肺炎など)の急性憎悪、肺炎、ARDS(成人呼吸窮迫症候群)、喘息重積発作などに対する人工呼吸管理は、年間25例程度のIPPV(侵襲的人工呼吸管理)、50例程度のNPPV(非侵襲的人工呼吸管理)を行っています。