放射線治療科の業務は、他の診療科に比べて詳しく知られていないところがありますが、大きく分けて3つの業務があります。
腫瘍に放射線を照射して直す治療法です。最新の治療装置では、癌の部分に多くの放射線を照射し、逆に癌以外の正常組織に照射する線量を少なくすることが可能になり、治療成績が格段に向上しています。IVRと同様に、”切らずに治す”治療法の一つです。IVRや抗がん剤治療、外科的手術と併用することもあります。
当院では、定位照射、呼吸同期照射、強度変調放射線治療(IMRT)等の最新の治療法が可能な高機能装置が導入されており、良好な治療成績が得られています。特に呼吸同期照射は県内で初めて当院で施行可能となった治療で他の施設ではなかなか難しい様な患者さんの治療も行っています。
又脳腫瘍の定位照射は四国内でも徳大病院についで多い件数を行っています。
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
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症例数 | 257 | 221 | 219 | 241 | 208 | 233 | 216 |
照射件数 | 5295 | 4378 | 4436 | 4837 | 3871 | 4285 | 4079 |
一般 | 4854 | 3795 | 3638 | 3729 | 2365 | 2286 | 1905 |
高精度 | 441 | 583 | 798 | 1108 | 1506 | 1999 | 2196 |
・定位 | 149 | 134 | 145 | 118 | 187 | 215 | 165 |
・IMRT | 292 | 449 | 653 | 990 | 1319 | 1784 | 2031 |
高精度% | 8.33 | 13.32 | 17.99 | 22.91 | 34.07 | 46.65 | 53.83 |
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
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ゾーフィゴ(人) | 6 | 1 | 6 | 1 | 5 | 6 | 5 |
ゾーフィゴ(件) | 18 | 3 | 27 | 1 | 13 | 18 | 19 |
甲状腺癌 | 3 | 1 | |||||
甲状腺機能亢進症 | 1 | 1 | 2 | 2 | 4 | 1 | 2 |
他の診療科とくらべて、放射線治療科の業務内容については詳しく知られないところがあります。
中央病院放射線治療科では、癌に対する放射線治療を行っています。
年間約300人の方に放射線治療を行っています。当院の放射線治療の殆どは体の外から放射線を当てる外照射ですが、バセドウ病に対する放射性ヨード内用療法や骨に転移したときの痛みに対する塩化ストロンチウム療法といった体の中から放射線を当てる内照射も実施しています。
乳房温存術後の放射線治療や肺癌の放射線治療(抗癌剤と併用することも)をはじめとして様々な悪性腫瘍に対する放射線治療を行っています(まれに甲状腺眼症やケロイド、木村病といった良性疾患に対する治療を行うこともあります)。高精度放射線治療と呼ばれる種類の治療も行っており現在以下の高精度放射線治療が保険診療で実施可能です。
1.脳定位照射:ガンマナイフと同じようなピンポイント照射を通常の放射線治療機器を用いて行っています。
2.体幹部定位照射:1と同じようなピンポイント照射を肺や肝臓の腫瘍に対して行っています。
固定具で圧迫固定して行う方法と、3で示す呼吸同期照射と呼ばれる方法とを使い分けて行っています。
1回の治療時間は30分~1時間と長いですが1週間で治療が終わり比較的負担の少ない治療です。
3.呼吸同期照射(呼気息どめ含めて)
肺や肝臓など呼吸によって動く臓器にある腫瘍は、呼吸によって大きく動くことがあります。これまでの放射線治療はこの動く範囲すべてに放射線を当てざるを得なかったので放射線を当てる範囲が広がっていました。しかしこの呼吸同期照射という技術を使えば、息を吐いたときのみ放射線を当て、息をすっている時は当てないということができるため、放射線を当てる範囲が狭くてすみ結果として副作用の少ない治療ができます。徳島県では当院が初めて呼吸同期照射を導入し、治療経験の最も多い病院となっています。
バセドウ病に対する放射性ヨード内用療法、骨転移を有する去勢抵抗性前立腺癌に対する塩化ラジウム療法などが実施可能です。現在年間5-10件程度行っています。
当院放射線診断・IVR科では、平成24年の開院時に、256列マルチスライスCT、3.0テスラMRI、PET-CT、IVR-CT、高機能リニアック等、画像診断、放射線治療機器とも最新の高機能装置を導入しました。
医療スタッフは、画像診断6名(うち4名がIVR専門医、3名が核医学専門医を重複して取得)、放射線治療専門医1名と後期研修医2名が診療に当たっています。
地域連携室にFaxしていただくことにより、画像検査、IVR、放射線治療とも、多数のご紹介頂いています。
直接放射線科にお電話いただければ、当日検査や緊急IVR、緊急放射線治療を施行することもあります。
当院では現在2台(Clinac iX<バリアン社製>、Oncor Impression Plus<シーメンス社製>)のリニアック装置を用いて年間約300人の方に放射線治療を行っています。また県立三好病院での放射線治療が2015年2月に開始されたのをきっかけに三好病院に対する遠隔放射線治療支援も行っています。
なお、当院には放射線治療専門医はもちろん、放射線治療専門技師・放射線治療品質管理士、更に徳島県では2人しかいない医学物理士(もう一人は三好病院に勤務)が在籍しておりかつ近日中に放射線治療認定看護師が誕生する予定と、”放射線治療に関係する有資格者が全てそろう徳島県内初の病院”となる予定です
乳房温存術後の放射線治療や肺癌の放射線治療(抗癌剤と併用することも)をはじめとして様々な悪性腫瘍に対する放射線治療を行っています(まれに甲状腺眼症やケロイド、木村病といった良性疾患に対する治療を行うこともあります)。
高精度放射線治療は現在以下の高精度放射線治療が保険診療で実施可能です。強度変調放射線治療(IMRT)は現在放射線治療医が1人しかいないため保険診療では実施できませんが、検証作業を進め今年中に1例目を始めるべく準備をしています。
1.脳定位照射:通常のリニアックを用いた脳定位照射の実施人数としては四国では徳島大学病院につぐ位の人数(年間30-40人)の方に治療を行っています。
2.体幹部定位照射:1と同じようなピンポイント照射を肺や肝臓の腫瘍に対して行っています。
固定具で圧迫固定して行う方法と、3で示す呼吸同期照射と呼ばれる方法とを使い分けて行っています。
年間約10人の方に行っています。
3.呼吸同期照射(呼気息どめ含めて)
肺や肝臓など呼吸によって動く臓器にある腫瘍は、呼吸によって大きく動くことがあります。これまでの放射線治療はこの動く範囲すべてに放射線を当てざるを得なかったので放射線を当てる範囲が広がっていました。しかしこの呼吸同期照射という技術を使えば、息を吐いたときのみ放射線を当て、息をすっている時は当てないということができるため、放射線を当てる範囲が狭くてすみ結果として副作用の少ない治療ができます。”徳島県では当院が初めて呼吸同期照射を導入”し、治療経験の最も多い病院となっています。特殊な呼吸同期ファントムを日本で6番目に導入しており、十分な検証作業を行って実施している全国でも数少ない病院の一つです。定位照射以外でも肺や上腹部腫瘍に対する通常照射でも必要に応じ実施しています。
バセドウ病に対する放射性ヨード内用療法、骨転移を有する去勢抵抗性前立腺癌に対する塩化ラジウム療法などが実施可能で現在年間5-10件程度行っています。