患者さまの体より外科・内科・産婦人科などの臨床医が採取した組織や細胞から顕微鏡検査に必要なガラス標本が作られます。この標本を顕微鏡で観察して診断するのが病理診断です。当院では、病理医2名、臨床検査技師6名(うち細胞検査士3名)が業務にあたっています。
最適な治療のためには適切な診断が必要であり、「病理検査」は最終診断として大きな役割を果たしています。
治療方針を決定するために、胃・腸や肺の内視鏡検査を行った際に病変の一部をつまみ採ったり、皮膚などのできものの一部をメスで切り取ったりして、病理組織の一部をガラス標本にします。この検査を「生検」といい、その診断を生検病理組織診断と呼びます。
手術で摘出された臓器・組織は、病理医が肉眼で病変の部位、大きさ、性状、広がりを確認し、診断に必要な部分を必要な数だけ切り取ります。臨床検査技師がこの臓器・組織のガラス標本を作ります。病理医が標本を顕微鏡で観察し、どのような病変がどの程度に進行しているか、手術で取り切れたのか、追加治療が必要かどうか、また、がんの場合は悪性の程度や転移の有無など、治療方針を決定するのに役立つ情報を臨床医に提供します。
肺がんや膀胱がんは、痰や尿の中にがん細胞が混じることがあります。痰や尿のガラス標本を、細胞検査士と日本臨床細胞学会認定細胞診指導医が顕微鏡で観察して、がん細胞がいるかどうかを診断するのが細胞診検査です。子宮がん検診では、産婦人科医が子宮頸部から細胞を採取して調べます。のどや乳房にしこりがあると、細い針を刺して吸引し、採取された細胞の中にがん細胞がいるかどうかを調べる検査もあります。
迅速細胞診検査は手術中に採取された胸水や腹水にがん細胞が混じっていないかどうか、ガラス標本を作って、顕微鏡で観察し、診断結果は手術中の執刀医に連絡されます。
迅速病理組織検査は病変が取り切れているかどうか確認のため、手術中に採取された病変臓器・組織に、がん細胞が含まれているかどうか、切除組織の断端にがん細胞があるかどうか、組織を凍結してガラス標本を作り、顕微鏡で観察し、10分程度で病理診断が行われます。診断結果は手術中の執刀医に連絡され、切除範囲を決めるなど手術方針の決定に役立ちます。
疾病診断および死因についてもっとも正確な資料を提供するもので病因の解析ならびに予防対策の検討のために重要な助けとなります。