CTとは、Computed Tomography;コンピュータ断層診断装置の略で、ベッド上に寝た患者さんに対して装置内を回転しながら幅のせまいX線を発生させ、患者さんの体から透過したX線を検出した分布をコンピュータ処理することで体の断層像を得る検査です。
現在のCT装置はMDCT(Multi Detector;マルチディテクタCTの略,マルチスライスCTともいう)といい、検出部が体軸方向に細かくかつ幅広くなっているものが主流となってきております。当院では2台のMDCT装置があります。
マルチスライスCTでは、従来までのヘリカルCTの技術にあわせて検出器の数が多くなることから、広範囲な撮影も短時間で可能(5秒から10秒程度)となり、患者さんに負担をさせる検査中の息止めなども比較的楽に終了出来ます。なおかつ、画像も薄い断面の撮影が出来るので、細部にわたり詳細に診断が可能となります。
また、得られた画像データからは、三次元処理画像や任意の違った断面の画像なども構築することが容易に可能となってきました。
さらに当院で使用しているCT装置の高速かつ詳細な画像が得られる利点を最大限に利用し、動いているものへの対応も進化してきており、従来までは不可能であった心臓に対する検査(数mmの心臓の血管;冠状動脈)を描出できる検査なども心電図と併用した特殊な検査として可能となりました。
128列マルチスライスCT装置では80mmの検出器幅、世界最速の0.27秒の管球回転速度による超高速撮影が可能となり、救急撮影や小児撮影に極めて有用となっています。
高速回転管球により心臓CTも4~5秒での撮影が可能となり、息止め負担や動きによるアーチファクトが軽減され、より高品質な画像が得られ診断能のさらなる向上が期待されます。
被ばく線量の低減については、逐次近似法を応用した再構成法(iDose4)によって被ばく線量を平均50%(最大80%)低減しつつ従来と同等の画質を維持することが可能になりました。
近年問題になっている医療被ばくについてもiCTを用いることで大幅に低減することができます。
256スライスCTではスキャンの高速化、高画質化、低被ばく化という相反する要素を、高いレベルで維持することができるため低侵襲で高い診断能の画像を提供することができます。
最近ではCTデータを3Dプリンターに入力して頸椎、腰椎、足などの実物大立体モデル(模型)を作製し、手術材料の選択や計画といった手術シュミレーションに役立てています。