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診療科・部門

医療被ばくについて

医療における放射線被ばくQ&A

現在、病気の発見や経過観察、治療にはX線撮影やCT、放射線治療などのX線を利用した検査が欠かせません。
こういった検査をすることで放射線被ばくを受けてしまいますが、病気の発見や治療により患者さんに対するこれからの治療の流れや方針が分かってきます。つまり、被ばくを受けるデメリット(損失)より、今後の治療方針が見えてくるというメリット(利益)の方が非常に大きいと判断した場合のみ放射線検査を行いますので心配ありません。被ばくすることを過度に怖がることなく、安心して検査を受けていただきたいと思います。一般的な放射線被ばくに関する質問と回答(Q&A)を用意しましたので、皆さんの放射線被ばくについての不安が少しでも解消され一助となれば幸いです。

用語解説

  • Gy(グレイ):ある物質によって、吸収された放射線のエネルギー。1Gyは物質1kg当たりに1J(ジュール)のエネルギーが吸収されることを意味します。

Q1:1日にX線撮影とCT検査を受けました。大丈夫ですか?

放射線は細胞の遺伝子を傷つけます。少量であれば、すぐに傷が修復されて人体に影響は出ませんが、大量に放射線を浴びると、傷の修復が追いつかず、細胞が分裂できずに死んでしまったり、がん細胞になったりすることがあります。
被ばく線量が100mSvを超えると放射線によるリスクが増えるといわれていますが、一般的なX線検査で100mSvを超えることはありません。CT検査による被ばく線量は、撮影部位によりますが、3~30mSv程度です。X線撮影は0.06~2mSv程度で安心して検査を受けていただければと思います。

Q2:先月もCT検査を受けました。放射線被ばくの量が多くなり心配です。

放射線により傷ついた細胞は自己修復により回復するため、前回の放射線の影響が体に蓄積するわけではありません。そのため、障害の発生につながることはありません。

Q3:腹部CT検査を受けた後に妊娠していることに気が付きました。大丈夫でしょうか?

胎児への影響は妊娠時期や被ばく量により異なります。たとえば妊娠初期(受精2~8週)流産では100mGy,器官形成期(受精2~8週)催奇形では100-200mGy,胎児前後期では100mGy以上で発育遅延や精神発達遅滞の確率が上がってくるとされる。
以上より胎児被ばく量の閾値(しきいち)は100mGyとされ,ICRP(国際放射線防護委員会)の勧告に100mGy以下の被ばく線量では中絶の理由にならないと明記されています。診断目的のCT検査の放射線被ばく線量で100mGyを上回ることはないです。

Q4:X線撮影やCT検査を受けた。放射線が体内に蓄積するのではないか?

検査で使用するX線はスイッチを入れたときのみ発生し、体を通り抜け蓄積することはありません。より詳しい内容については以下のサイトをご参照ください。

当院の各検査・治療における詳細な照射線量

CT

CT検査の被ばく線量の指標として、CTDIvol、DLPが用いられます。

  • CTDIvol:CT検査で受ける1cm当たりの放射線の吸収線量です。
成人CT
2020年4月現在
当院 DRL 当院 DRL
CTDIvol(mGy) CTDIvol(mGy) DLP(mGy・cm) DLP(mGy・cm)
頭部単純ルーチン 75.99 85 1297.7 1350
胸部1相 10.21 15 471.4 550
胸部~骨盤1相 9.925 18 737.2 1300
上腹部~骨盤1相 12.1 20 686.6 1000
肝臓ダイナミック 12.25 15 1688.2 1800
冠動脈 54.7 90 1040.2 1400

※体重50~60kgの場合です。冠動脈は50~70kgの方を対象にしています。

小児CT(胸部)
2020年4月現在
当院 DRL 当院 DRL
CTDIvol(mGy) CTDIvol(mGy) DLP(mGy・cm) DLP(mGy・cm)
1歳未満 3.3 5.5 38.5 105
1~5歳 6.1 7 94.4 150
6~10歳 7.25 7.5 239.9 205
小児CT(腹部)
2020年4月現在
当院 DRL 当院 DRL
CTDIvol(mGy) CTDIvol(mGy) DLP(mGy・cm) DLP(mGy・cm)
1歳未満 3.1 5.5 69.75 110
1~5歳 5.5 8 181 200
6~10歳 9.2 8.5 418.35 265

血管撮影検査

2020年4月現在
検査部位 プロトコール名 当院線量率(mGy/min) DRL(mGy/min) 当院照射線量(mGy)
頭部 頭部DSA 5.5 20 636
頭部 頭部血管治療 21.7 20 2065
頸部 CAS 6.2 20 465
胸部 BAE 6.7 20 346
腹部 肝臓TACE 12.6 20 937
腹部骨盤 腹部骨盤止血術 8.9 20 419
四肢 シャント拡張術 1 20 48
頭頚部 リザーバ造影 3.6 20 6.4
四肢 リザーバ造影 3.4 20 5.6
胸部 冠状動脈造影(CAG) 18.2 20 639
胸部 冠状動脈治療(PCI、ステント留置術)経皮的冠動脈インターベンション 20.7 20 1564