徳島県立三好病院のホームページを御覧いただき、ありがとうございます。院長の藤永です。
令和4年4月、院長に就任し、早3年が経過いたしました。
住友前院長からバトンを引き継ぎ、「誠実で信頼される病院となる」との理念のもと、地域に根ざした医療を実践し、地域の皆様に信頼される病院づくりに全力で取り組んでおります。
昨年は、新年早々に「令和6年能登半島地震」が発災し、当院も2月に「JMAT(日本医師会災害医療チーム)」として、医療救護班が現地に赴きました。さらに昨年9月には、「能登半島豪雨災害」が起き、本当に被災された皆様並びにその御家族の皆様は大変な一年となったことと存じます。
心よりお見舞い申し上げますとともに、被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
徳島県においても、昨年8月には「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発令され、改めて災害対策が必須になっております。当院は「災害拠点病院」であり、その機能を最大限発揮できるよう、「DMAT(災害派遣医療チーム)」の充実や継続した災害訓練の実施等により災害対応の実効性を高める取組を積極的に行っているところであり、今後も災害対策にしっかりと取り組んで参ります。
さらに、「新型コロナ感染症」や「インフルエンザ」、さらにはその他の感染症も引き続き流行しており、依然として、高齢者や術後患者さん等の免疫力が低下した方は、感染すると重症化する傾向が見受けられます。
以前よりは面会制限を緩めてきておりますが、引き続き、十分な感染対策を行い、県立病院として感染症の治療も継続するとともに、今後発生が危惧される「新興感染症」にも、しっかりと対応して参ります。
コロナ禍後は、どの病院も持続的な運営が厳しい状況でありますが、当院の使命は、「地域医療の要」となることであり、急性期疾患、特に救急疾患への対応が第一と考えております。
そのため、「救命救急センター」を中心にしつつ、これまで、「高度先進関節脊椎センター」、「がん診療センター」、「脳神経センター」、さらには「心不全治療推進チーム」などにおいて、多職種で、総合的かつ専門的な診療体制を構築して参りました。
また、昨年度は「手術センター」と「呼吸器センター」を設立し、手術室運営をさらに充実させるとともに、内科・外科の両面から、急性期治療を行う体制も整備しました。
一昨年度の人口10万人あたりの救急車受入数は、「全国で30位」となりましたが、今後も「断らない医療」を実現して参ります。
また、各地域が直面している超高齢化社会においては、地域の特性に応じた「地域包括ケアシステム」の深化がますます大切になっております。
2040年「地域医療構想」においても、地域の先生方や介護施設の方との連携は非常に重要であり、人生100年をいかに健やかにその人らしく生きていけるような社会を目指し、疾病の発症予防、そして発症後の急性期から慢性期治療、さらには再発予防に対応できる地域医療を皆様と一緒に構築し、地域の皆様が安全、安心に暮らしていけるよう努めて参ります。
こうした医療を確保していく上で、重要となるのが「人材の確保・育成」であります。
当院ではこれまで、単独の初期臨床研修医をはじめとして、徳島大学病院や徳島県立中央病院等から、多くの連携の研修医も受け入れて参りました。
今年度は、1名の単独の臨床研修医を迎え、さらには学生実習も充実させ、昨年12月からは、徳島大学のみならず杏林大学の医学生も受け入れ、さらに看護学生も引き続き受け入れております。
10年後、20年後の地域社会を考えるとき、次世代の医療を担う若手医師の教育は非常に大切です。また、職員が教育に関わることで、医療の質の向上に結びつきます。
「地域」を学んだ医師が、将来再び当院に帰って来たくなるような、そんな魅力ある病院を目指し、当院が「学びを通して地域医療の要となる」ように、ますます頑張って参ります。
その一環として、老朽化した外来棟は、「全国でも類を見ない」保健所も一緒になる形で、「新外来棟」として生まれ変わる検討が進められております。
数年後は、さらに一層、救急、災害そして新興感染症に対応できる病院となることを期待しております。
最後になりましたが、今後も職員一丸となり、「四国のへそに根ざして、地域住民の安全と安心を守ることができる病院」として、皆様の安全で安心な生活と健康維持に貢献できるよう努力して参ります。
引き続き、皆様が健やかに過ごされますよう、お祈りしております。
令和7年6月 徳島県立三好病院長 藤永 裕之