薬は吸収されて、血液にのって全身をかけめぐります。薬によって個人個人で異なりますが、 その血液中の濃度は、錠剤などの内服薬では1~3時間後、坐薬では1~2時間後ぐらいに最高になります。 ですから、すぐ効かないからといっても、少なくとも4~6時間位は間隔をあけて服用した方がよいでしょう。 また、薬により効く時間が異なりますので、できればかかりつけの薬局に相談するのがよいでしょう。
薬の作用によって多少の違いはありますが、基本的には、思い出したのが次回の服用以前ならのみ忘れた分を服用し、 次回の服用時刻に近ければ服用間隔が4~5時間になるように後へずらします。 ただし、1日1回の場合は、最低8時間間隔をあけましょう。また、2回分を一度にのむのは危険ですから避けましょう。
ただし、鎮痛剤のように胃を荒らしやすい薬の場合は、できるだけ空腹を避けるようにした方がよいでしょう。
食前、食後等、食事と関連づけて服用の指示があった場合、食事をしなくても薬は服用してください。ただし、鎮痛剤など胃腸障害の起こりやすい薬は、胃に対する負担を考え、少しでも何か口にしてから服用してください。それも無理ならやや多めの水で服用するようにしましょう。 なお、糖尿病の薬(経口血糖降下剤)については、食事をとらずに薬をのむと低血糖のおこる危険がありますので、あらかじめ医師に聞いておいてください。
頓服薬とは、発作時や症状のひどい時に用いる薬です。解熱剤、鎮痛剤、下剤、睡眠剤、狭心症発作を抑える薬などがあります。
ただし、頓服薬としての指示がない場合、または特に医師から一時的に服用するような指示がない場合は、 それぞれ決められた時間にきちんと服用してください。
以下、主な頓服薬の用い方を説明しましょう。
通常、38.5℃以上の時に服用します。効かないからといって続けて服用してはいけません。最低4~6時間はあけてください。
頭痛、腹痛、歯痛、その他の痛みのある時に服用します。これも続けて服用する場合は、4~6時間間隔をあけてください。
便秘の時に服用します。通常、寝る前に服用すると翌朝便通があります。
眠れない時に服用します。医師の指示に従い、1回量を厳守して服用しましょう。乱用してはいけません。
狭心症の発作が起こった時に服用します。 舌下錠というのは舌の下に錠剤を入れて服用するもので、口腔内の粘膜から直接吸収されるため、通常1分以内に効果が現れます。 かみ砕いたり、のみこんだりしないように注意してください。
薬によっては牛乳、お茶、ジュースなどと一緒に服用すると期待される効果がなくなったり減弱したり、効果が強く出るものもあります。
薬は、コップ一杯の水や白湯で服用するのがベストです。 しかし、特に作用を減弱する薬(薬がそれに該当するかどうかは遠慮なく薬局で聞いてください。)でなければ、 お茶や牛乳などでもかまいませんので、きちんと薬を服用することを心掛けてください。
心臓病のお薬には、のみ薬以外に、皮膚に直接貼ることによって効果をあらわす薬(貼り薬)があります。 この貼り薬は、貼り方が不完全だったり、途中ではがれると期待した効果が得られません。下記の注意事項を読んで正しくお使いください。
塗る回数は一般的には1日1~4回です。医師から「何回」という回数の指示がある場合は、指示に従ってください。
塗り方はどの種類もたっぷりと塗る必要はありません。患部に薄くのばすように塗れば良いでしょう。 塗った後は、傷口がある患部や医師からの指示以外は、包帯・ガーゼなどあてない方が良いでしょう。 必要以上に包帯・ガーゼなどをあてると、効果が強く出過ぎる薬もあります。
赤ちゃんに薬を飲ませるのは大変ですね。ミルクに混ぜてあたえると簡単ですが、これには問題があります。 薬を入れたミルクは、いつもとちょっと違う味です。 そのときは飲んでくれたとしても、次からは警戒して飲まなくなることがありますし、 薬の入っていない以前は大好きだったミルクまで飲まなくことがあります。 「ミルク嫌い」にしないためにも、ミルクに混ぜることはおすすめできません。
赤ちゃんに薬を飲ませるには、以下の方法をおすすめします。
1回分をスプーンに入れ、口の中に流し込みます。
きれいに洗った手のひらに1回分の粉をおき、少量の水・白湯などで練ってだんご状にします。 それを指につけ、赤ちゃんの頬の内側や上あごにぬりつけます。
※いずれの場合も、口直しにミルクや好む飲み物を与えます。
小さい子どもの場合、赤ちゃん同様練って、 頬の内側や上あごにぬりつける方法が一番良いと思います。
粉薬の中には、ドライシロップといって甘い味のついているものもあります。 1回分を少量の水で溶かすとジュースのような味がして子どもも好んでのむことがあります。
その他、次のような方法もあります。
※ただし、これらの場合、混ぜた状態での保存は避けてください。
薬というのは、1つの薬に対して1つの効果というわけではなく、いろいろな所に作用します。 例えば、抗生物質は体の中の悪い細菌を殺しますが、同時に腸の中に常在する乳酸菌などもやっつけるので下痢や便秘を起こすことがあります。 その病気に対してよく働くのが主作用で、その人に対して具合の悪くなるのが副作用となるわけです。
多少、副作用があったとしても、そのまま薬を使わないで放っておいたら非常に病気が長引いたり、 あるいは治らないということになるかもしれません。 ただ、「この薬はこういう副作用がありますが続けてください。」と言われる以外の症状が出た場合は、医師や薬剤師に聞くことが大切です。 その症状が続いていてもいいのか悪いのかの判断を自らでくだすのは危険ですし、 薬のせいではなく違う病気でその症状が起こっている可能性もあるからです。
同じような作用の薬をのめば強力な作用が現れるし、逆の作用の薬をのめば効果が現れにくくなります。 また、多種のむことによって、個々ではない副作用がでてくるということもあります。このような効果を薬の相互作用といいます。
恐ろしいのは、2種類の薬をのめばその効果が1+1=2にはならずに、3にも4にもなってしまうことがあることです。
このような薬の重複や副作用を防止するためにも他の病院、診療科でもらっている薬は診察の際に必ず医師に見せてください。 市販の薬を服用していても同様です。
薬には、症状がなくなればやめてもいい薬と、症状がよくなったからといっても忘れずにのまなくてはならない薬があります。 やめてもいい薬には、痛み止め、解熱剤、かゆみ止め、せき止め、便秘薬、下痢止めなどがあります。 催眠剤も自然に眠れるようになればのむ必要はありません。
忘れずにのまなくてはならない薬には、 血圧を下げる薬、コレステロールを下げる薬、けいれんを止める薬、糖尿病の薬、心臓の薬、アレルギーの薬などがあります。 これらの薬は、症状が軽くなったり調子がよくなったからといって、つい薬をのむのを忘れたりやめてしまうと、 せっかく薬によってコントロールされていたものが、もとに戻ったり、かえって悪くなることさえあります。 薬をのむのをやめてもいいと言われない限り、処方されたお薬はその日数分のんでください。
薬は、光・温度・湿度に大変影響を受けます。保存状態が悪いと変化を受けやすく、効果の上にも悪影響を与えます。 薬の効果を十分に発揮させ、かつ、安全に服用するためには、薬に適した保管をすることが大切です。 以下、主な薬の保存上における注意事項をあげます。
特別な指示のない場合、缶の中や引き出しの中などに入れ、低湿度で高温にならないような場所に保管してください。
冷蔵庫に保管してください。水薬のカップ、水薬ビンの口などは細菌汚染を受けやすいので、常に清潔に保ちましょう。 また、風邪薬や咳止め等の水薬は水などで薄めていますので、長期保存すると腐敗するおそれがあります。 1週間以上たった薬は服用しないようにしてください。 ただし、原液(水などで希釈していないもの)の薬は処方された日数まで保存可能です。
内服薬と同じ場所でかまいません。 しかし、坐薬は薬自体が体温で溶けるように作ってありますので、冷蔵庫に入れるか、なるべく涼しい場所に保管してください。 また、使用中の点眼薬は細菌に汚染されやすいので、開封後はきちんとふたを閉め、2週間をめどにお使いください。
病院でもらう薬は医師が診断して、その人の症状や体格などにあった薬が処方されています。 見かけは同じような症状でもまったく別の病気であったりすることもあります。 また個人個人の体質にあう薬、あわない薬もあります。 他人の薬を自己判断でのむことや自分の薬を他人に譲ることは絶対やめましょう。
別の病気でいつもとは違う病院で診てもらうことはよくあります。 また、同じ病院内でも違う科を受診することもあります。 そのような場合、自分が現在服用している薬を必ず医師にお伝えください。
お薬の中には、一緒にのむと作用が強くでたり、弱くなったり、あるいは重大な副作用を引き起こすおそれのある組み合わせもあります。 服用している薬を黙っていると、知らないうちにそのような薬の組み合わせをのんでしまう可能性もあります。 また、見た目には違うお薬でも成分が同じもの、同じ作用のものが重複して処方される場合もあるかもしれません。