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研修医インタビュー:遠藤寛也 先⽣

遠藤Dr

さまざまな人生の岐路に共に立てる医師として、
充実した診療科での積極的な学びを。

研修医1年目(令和2年度)
遠藤 寛也先生
臨床研修医

遠藤先生は初期臨床研修プログラムの1年目ですよね。徳島県立中央病院での研修はいかがですか?

遠藤先生:非常に充実した毎日を送っています。徳島県立中央病院では、直接歩いて来院される方や紹介などで来院される、いわゆるウォークインの患者さんと救急の患者さんそれぞれに対して、研修医の頃からファーストタッチを任せていただけます。来院された患者さんと対峙し、治療の判断をしながら問診や診察・検査をおこなっていく経験をさせていただけるので、学べることはすごく多いです。

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ー ファーストタッチをおこなう中で、不安や怖さはありませんでしたか?

遠藤先生:もちろんありました。ファーストタッチというのは、患者さんと向き合いながら症状をうかがい、どのような検査や処置が必要か考え、どうなれば帰宅と判断するのか、もしくは入院していただくべきなのか、すべてを自分で見極めていく必要がある役割です。ですので、自分の診断に対しても「本当に帰してしまって大丈夫かな」といった不安は常につきまといます。ただ、これは医師として働いていくにあたって絶対に必要な経験なので、それを初期臨床研修プログラム1年目から体験させていただけているのはとても有難いです。それに、間違った方向へ進みそうな時にはきちんと常勤の先生方や先輩が指摘して軌道修正してくださいますし、わからない時も頼らせていただきやすい気さくな雰囲気のある病院なので、プレッシャーと戦いながらも挑戦ができているかなと思います。

ー なるほど。先輩方に頼れる環境でたくさん経験を積むのは大切なことですね。遠藤先生はなぜ徳島県立中央病院を研修先に選ばれたんですか?

遠藤先生:悩んだ病院は三つありました。私は初期臨床研修の2年間で救急医療も学び身に付けたいと考えていたこともあり、三つの病院に何度か足を運んでどこが最適だろうと比較検討していきました。それぞれに魅力はありましたが、その中で特に多くの科を扱っていていろいろな患者さんに会える、救急のケースも多い徳島県立中央病院を選ぼうと決めました。当院はウォークイン以外の救急搬送も多いため、半ば必然的にもトライできる環境にあるんじゃないかなと感じています。

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治すだけではなく、寄り添える医師になるために。

現在、担当患者さんは何名ほどいらっしゃるんでしょうか。

遠藤先生:現在は5名ほどです。初期臨床研修診プログラムでは毎月異なる科で経験を積んでいきますが、診療科によって多少前後することはあっても、平均的に5名前後かなというのが私の所感ですね。

同時並行で複数の患者さんを治療していく中で、大変なことや気をつけていることはありますか?

遠藤先生:担当する患者さんの中には、重症の方もいれば容態が落ち着いている患者さんもいますが、食事の状態や病態など常に気をつけていかないといけないというのはあると思います。あとは、患者さんやご家族に対する説明などもとても大事だなと感じています。今はコロナウイルスの影響もあって患者さんもご家族に会えなかったりするので、その分なるべく電話で様子をお伝えしたりと、安心していただくためにできることはやっていかないといけないなと思っています。

ただ治療するだけではなく、安心していただくという点も大切ですよね。

遠藤先生:はい。たとえば癌の治療をしている患者さんが「お腹が痛い」ということを感じていた場合にも、癌にばかりに意識がいっていると気づかないこともあると思うんです。だけど本質的には「健康」を目指すための治療なのだから、癌だけを治せばいいわけじゃないんですよね。

社会背景や保険の問題で治療が受けられない方にはその辺りの情報を提供したり一緒に解決法を見つけていったり、高血圧を放置している人にはここも治療した方がいいという話をしたり、医師という仕事は決して「目の前の病気をただ治す」というものではないと思っています。ただ、正直すべての症状を治療できるのかと言われると、原因がわからない時もあったりするわけで……。それなら見逃してはいけない疾患がどこなのかという部分だけは確実に把握し、あとは心の不安を取り除くことで寄り添っていくのが重要だと感じます。ですのでなるべくコミュニケーションをとって、不安を減らせるようにできたらいいなと思うんです。

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ー 遠藤先生はなぜ医師という仕事を目指されたんでしょうか。

遠藤先生:私の場合、身内が医師だったことが大きかったです。幼い頃からその姿を見ていて、人を助ける仕事、命を助けられる仕事というものに憧れを持っていました。人を助ける仕事というといろいろあるのかなと思いましたが、「命を助けられる」となると他にはなかなか無いのかなと感じていたんです。患者さんの容態に合わせて働く大変さのようなものも間近に見てはいましたが、それでも「大変そう」というよりはポジティブなイメージが強かったんです。

ー 実際に働くようになってみて、抱いていたイメージとのギャップはありますか?

遠藤先生:当初は、相当ハードな生活になるんだろうというイメージを持っていたため、初期臨床研修プログラムが始まる前にもそれなりの覚悟を持っていました。ただ実際に始まってみると、時間という面では意外と余裕があるなと思っています。当直は月4回が基本ですし、8時から9時には帰れる生活なので、自炊をしたりする時間もとれています。

ただ、勉強することは無限にある仕事でもあると思うので、やろうと思えばいくらでもできてしまうという一面はあると思います。やることは病院でやりきってしまって、家に帰ってからは気分転換を大切にするとか、その辺の調整は大切かもしれません。

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「患者さんと同じ苦しみ」を通して気づいたこと

研修プログラムの中で印象的だったことはありますか?

遠藤先生:消化器内科をまわっているときに、同期同士で上部消化管内視鏡を体験しあうという機会をいただいたことがありました。私たちも普段患者さんに内視鏡検査をさせていただくことがありますが、自分は体験したことがなかったんです。実際に同期の一人にやってもらうと、想像していた以上に苦しくて。私に鼻炎の傾向があるからかもしれませんが、本当に息ができないほどで、想像を絶する体験にとても驚いたんです。

もちろん知識としてどんな感じがするものなのかとか、どのような検査なのかということは知っていましたが、「実際にされる側になってみて初めてわかることがあるんだな」と痛感した出来事になりました。医師という仕事をする上で、この経験は本当に大切にしないといけないし、忘れてはいけないことだと感じました。

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確かに、患者さんの気持ちがわかっているのとわかっていないのとでは大きな差が出てきそうですね。同期の皆さんとは普段からコミュニケーションが多いのでしょうか?

遠藤先生:雑談もしますし、お互いに相談をしあったりといった交流も多いと思います。同期も先生方も、当院はすごくやさしい人が多いなという印象です。患者思いの先生が多く相談に乗ってもらいやすいので、自分の診療科以外のことも含めてわからないことがある度にすぐ相談しています。

相談をするということも一つかと思いますが、その他に研修中により多くの学びを得るために大切にしていることはありますか?

遠藤先生:学生時代は「教わる」という姿勢が大切だったかと思いますが、今は受け身でいては意味がありません。研修と名前がついていたとしても、もう学生ではなく医師ですので、流れや準備、どういったところに注意していったら遂行できるのかという部分や、この治療によって何がしたいのかといった目的や意図の理解、何のためにやるのかといったところを理解できていれば、常勤の先生方から手技を任せていただけます。積極的に「こうしたらいいと思う」といった自分の意見を投げかけることで、得られる経験や学びは増えていくのではないかと思います。

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医師は「人生の岐路」に共に立つ仕事

現場に出るようになって、改めて感じている医師という仕事の魅力を教えてください。

遠藤先生:何よりもまずは人を助けることができる仕事だということです。病気で病院を受診する時って、人生の岐路みたいなところがあると思うんですよね。今まで一番、これまでの人生を振り返るだろうし、これからについても悩まれる瞬間だと思います。そこに立ち会えて、寄り添って一緒に進んでいける。人生の重要なタイミングに一緒にいることができるのは、本当に貴重な仕事だなと思っています。

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逆に、現場に出るようになったからこそ感じる辛さはありますか?

遠藤先生:どうでしょうか。もちろん悩むことやもっと勉強しないといけないと感じることは多いですが……、私の場合だと、もしかすると「もっと悩んだ方がいい」ということが言えるのかもしれないです。病気を抱えている患者さん側の立場や生活や心理を想像してもっと悩むといいますか。そこのバランスはこれからもっとたくさん経験する中で見出していくべきところかもしれませんね。

今後、「この科を極めたい」「こんな医師になりたい」というようなものはありますか?

遠藤先生:私は「いろいろなことができる医師」を目指しているので、ひとつに絞るのがなかなか難しいなと日々悩んでいます(笑)。当院は初期臨床研修のタイミングで体験できる科がとても多いので、毎日しっかりと学びながら、今後については二年目も含めて精査していきたいと思っています。

一方で勤務する中で思うのが、「体験できる機会がなければ選択肢にも入らなくなってしまう」ということです。ですので、研修先を選ぶ時に「多くを体験できる病院を選ぶ」というのは良い選択なのではないかと思います。

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最後に、研修先の病院を決めるのに迷われている方や、医師に憧れを持ちながらも迷われているという方もいると思います。一言メッセージをお願いします。

遠藤先生:この仕事は本当に学ぶべきことが多いです。いろんな診療科がある中で、最終的にはひとつの科の先生になるとしても、医師というのは一つの診療科だけができたらいいというわけではありません。すべてについてしっかりと学び、理解ができてこそ、ようやく医師の土台ができていくのではないかと私は思います。当院に関して言えば、学べる診療科が多く、研修の段階からドクターヘリや救急といった部分も学べるので、そういった点ではとても充実した環境だといえますし、良い意味でフラットで気さくな関係性のある、相談しやすくあたたかい環境の病院だと思います。

先輩後輩や同期といった関係性を問わず、支え合いながら働ける良い病院だなと個人的には思うので、ぜひ当院に来て一緒に頑張っていける方が増えれば嬉しいです。

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