年齢と共に膝関節の関節軟骨がすり減り、膝の痛みと変形を起こす病気です。高齢者に多く、年齢が高くなるにつれて有病率が高くなります。特に肥満を持つ50歳以上の女性が多いとされています。症状として、初期の頃は立ち上がりや、歩き始めなどの動き始めに痛みがあり、休むと改善します。中期になると、正座や階段の上り下りが痛くて出来なくなります。末期になると安静にしていても痛みが取れず、膝関節のO脚変形などの変形が目立つようになり、膝が真っ直ぐ伸びなくなるため、歩くことが困難になっていきます。
治療には保存療法と手術療法があり、まずは保存療法で様子を見ていきます。
保存療法でも改善が無い場合は、手術を検討していきます。
手術療法は下記のように病期によって4種類に分けられます。それぞれの病期に合った最適な術式を選択し、手術を行います。
関節鏡下に変形・断裂した半月板、滑膜などを除去します。
適応は関節変形が初期と診断された方や、機械的(関節内遊離体が膝関節に挟まる、半月板が引っかかる)症状がある場合となります。
内側型変形性膝関節症に対して、脛骨近位部の骨を切ることにより、変形が及んでいない外側関節面へ加重を分散させます。
適応は50~60歳代で、変形が関節の一部(内側)に留まる場合となります。また、日々の生活での活動性が高い場合や、前・後十字靱帯が正常な場合も適応となります。
膝関節の内側または外側の片方のみを人工関節に置き換えます。
適応は60歳以上で、変形が関節の内側または外側にとどまり、関節可動域も良好で全十字靱帯が温存されている場合となります。
膝関節の内外側とも全てを人工関節で置換します。また、靱帯の損傷具合により、前・後十字靱帯を切除する術式や後十字靱帯を温存する術式があります。これらは、執刀医判断により適切な術式が選択されます。
適応は65歳以上で変形が関節全体にわたる場合となります。
膝関節の内外側とも全てを人工関節で置換するのは一般のTKAと同じですが、両十字靱帯温存型は膝本来の生理的可動や感覚を維持することが出来ます。非常に高度な術式であるため、ナビゲーションシステムまたは、手術支援ロボットを用いて手術を行います。
適応は比較的若年(60歳以上)で骨の変形が少なく、靱帯の損傷が少ない方が対象となります。